飛行計画の要領が改正——10月1日から、ネットで飛行計画を出す手段はSWIMだけになる

飛行計画の要領が改正——10月1日から、ネットで飛行計画を出す手段はSWIMだけになる

日本航空機操縦士協会(JAPA)から、「飛行計画記入・通報要領」の一部改正が周知されました。

国空用第393号/令和8年8月20日改正、令和8年10月1日施行。

改正自体は3点だけの小さなものです。ただしそのうち1点には、9月30日という期限が付いています。


改正は3点 #

新旧対照表を並べると、変わったのはここだけです。

#箇所内容対照表の備考
13.定義(2)「空港事務所」の定義を削除記載内容重複のため削除
24.(2) 注2SATサービスの規定を削除。SWIMサービスが注3→注2に繰り上がりSATサービスの廃止に伴う削除
35.2(3)a、5.2(8)(u)ウ編隊飛行の記載を「当該航空機の飛行計画を通報した空港事務所から依頼があった」に明確化記載内容明確化のため改正

実務に効くのは2番です。順に見ます。

本題——SATサービスが9月30日で終わる #

削除されたのは、この一文です。

注2 インターネットによる飛行計画等の取扱いサービス(以下「SATサービス」という。)利用者として登録をした場合は、SATサービスにより通報することができる。この方法により通報を行う場合の手続き等については、地方航空局保安部運用課に確認すること。

改正後、この注2は丸ごと消え、代わりにSWIMサービスの規定が注2に繰り上がっています。条文の上では、インターネット経由で飛行計画を出す方法はSWIM一つだけになりました。

日程はこうです。

日付何が起きるか
2026年3月4日 3:00SWIMの情報サービス開始(NOTAM・AIP系)。AIS JAPANのNOTAM検索機能は同日終了
2026年3月10日AIS JAPANのその他機能も終了
2026年3月24日 9:00SWIM フライトプラン登録サービス開始
3月24日〜9月30日SATとSWIMの並行運用期間
2026年9月30日SATサービス終了
2026年10月1日改正要領 施行

要領の施行日が10月1日なのは、そういうことです。SATが店じまいした翌日から、条文もSATを知らない状態になる。並行運用は9月30日で切れます。

SWIMのどこで出すのか #

飛行計画はSWIM portalの「フライトプラン登録サービス」です。

https://top.swim.mlit.go.jp/swim

サービス提供者は東京空港事務所(東京FAIB)/関西空港事務所(関西FAIB)。ここはSATと窓口が変わっています。改正前の要領は手続きの確認先を「地方航空局保安部運用課」と書いていましたが、SWIMの規定では「SWIMサービスの情報サービス提供者に確認すること」となっており、実際の連絡先はFAIBです。

SWIMには、運航者が保有機をあらかじめ登録しておく仕組みもあります(Aircraft IDに機番を入れて登録を依頼し、承認を受ける)。ただしこれは必須ではなく、登録しなくても飛行計画の通報自体はできるようです。常用するなら登録しておいたほうが楽、という位置づけでしょう。

いずれにせよ、利用者登録は事前に必要です。10月に入ってから初めて触る、という形にはしないほうが無難だと思います。

なお、SWIMには飛行計画以外にも、ATS情報配信・リクエスト、空港/空域プロファイル、気象情報配信、C-PIREP、デジタルNOTAMなどが並んでいます。航空情報側の話は以前の記事で扱いました。

残り2点も見ておく #

定義から「空港事務所」が消えた(削除であって、変更ではない) #

改正前の3.定義には、こうありました。

(2)空港事務所 「空港事務所又は空港出張所において飛行計画の通報等に関する事務を行う時間を定める告示」に定める空港事務所をいう。

これが削除され、スルーフライトプランが(3)から(2)に繰り上がっています。

定義が変わったわけではありません。同じ内容が4.(1)の注にもあったための重複解消です。合わせて4.(1)の注のほうも、時間の話から定義そのものを書く文言に整理されました。

読むときに注意が要るのは、項番がずれていることです。「3.(2)」で引用している資料が手元にあるなら、10月1日以降は指す先が変わります。

編隊飛行——どの空港事務所か #

第9項(航空機の数)と第18項その他情報のウ、2か所が同じように直りました。

記載
現行空港事務所から依頼があった登録記号等を記入する
改正後当該航空機の飛行計画を通報した空港事務所から依頼があった登録記号等を記入する

編隊飛行では、機体ごとに違う空港事務所へ飛行計画を出している場合があり得ます。そのとき「空港事務所から依頼があった」だけでは、どこの依頼かが決まりません。自分の飛行計画を出した先だと特定した、というだけの改正です。

意味が変わったというより、読み違えの余地を潰した改正でしょう。

パイロットとして思うこと #

この改正、条文としては地味です。SATという名前が消えて、SWIMが繰り上がっただけ。

ただ、インターネットで飛行計画を出す手段が一本になったのは、それなりに大きいと思います。これまでは「SATでもSWIMでも」だったものが、10月1日からは選択肢がありません。

そして要領の改正は、移行の完了を追認しているだけだという点も押さえておきたいところです。動かなければならない期限は10月1日ではなく、9月30日。要領を読んで「10月1日からか」と受け取ると、一日ずれます。

もう一つ。改正の3点のうち2点は「重複の削除」と「表現の明確化」でした。中身は変わっていないが、項番と文言は変わっている。社内の手順書やチェックリストで要領の項番を引用している場合は、10月1日に合わせて見直しておくと安全です。特に「3.(2)」は指す先が変わります。

最後に、正直な感想をひとつ。私はSATを使っていました。そして、使い勝手はSATのほうが良かったと思っています。シンプルで、分かりやすかった。

SWIMはできることが桁違いに多い基盤です。NOTAMも気象もプロファイルも、一つの入口に集約される。方向として正しいのは分かります。ただ、「飛行計画を一枚出す」という一点だけを見れば、機能が増えたぶん手数も増えたというのが実感です。

こういうときに効くのは、慣れだけだと思います。9月のうちに一度、実際に出しておく。それだけで10月の景色は変わるはずです。

まとめ #

  • 「飛行計画記入・通報要領」が国空用第393号(令和8年8月20日)で一部改正令和8年10月1日施行
  • 改正は3点。①定義から「空港事務所」を削除(重複解消)②SATサービスの規定を削除 ③編隊飛行の記載を明確化
  • 実務に効くのは②。SATサービス(インターネットによる飛行計画等の取扱いサービス)は2026年9月30日で終了する。
  • 代わりはSWIMの「フライトプラン登録サービス」(2026年3月24日開始、9月30日まで並行運用)。10月1日以降、ネット経由の通報手段はSWIMのみ
  • 動く期限は10月1日ではなく9月30日。要領の施行日はSAT終了の翌日にすぎない。
  • 利用者登録は事前に必要。保有機(Aircraft ID)を事前登録する仕組みもあるが、登録しなくても通報自体はできる模様。常用するなら登録しておくほうが楽。
  • 窓口も変わる。SATは地方航空局保安部運用課、SWIMのフライトプラン登録サービスは東京FAIB/関西FAIB
  • 定義の削除で項番が繰り上がっている(スルーフライトプランが3.(3)→3.(2))。要領の項番を引用している社内資料は要確認。
  • 編隊飛行は「当該航空機の飛行計画を通報した空港事務所」と特定された。内容の変更ではなく明確化。

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本記事は、公益社団法人日本航空機操縦士協会(JAPA)が周知した改正通達および国土交通省航空局の公表資料に基づいて整理したものです。通達は改正されます。実務で用いる際は必ず最新版をご確認ください。SWIMの登録手順やサービス内容は変更され得るため、詳細はSWIM portalおよび各情報サービス提供者にご確認ください。

ヒーロー画像はICAO標準の飛行計画(FPL)様式です。“The standard flight plan (FPL) format” by Ben Pirard / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0(本記事への掲載にあたりトリミング・リサイズを行いました)


出典

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